2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

6.16/2023 -その5 映画『ダークナイト・ライジング』について

クリストファー・ノーラン監督による「ダークナイト」トリロジー第3部、THE DARK KNIGHT RISES (2012) は、階級間闘争をえがいた作品である。支配階層たる富裕層に対し、最下層からの地殻変動=反乱が起こる。同時に、「ハービー・デントの英雄化」という虚…

6.16/2023 -その4 映画『インセプション』について

4.18 クリストファー・ノーランによる映画作品の特徴は、大きく2つある。 1つ目は、階層構造の上下と、入れ子構造、そして夢から現実への浮上、である。 2つ目は、「Uターン構造」である。 いずれの特徴も、夢と現実、無知と啓蒙、物語と現実、といった対…

6.16/2023 -その3 Memento(2000)→TENET(2020)

映画 Memento (2000)は、映像外で行われがちな「説明」を映像内に収め、映像内で完結させる試みであった。 因果関係の時系列の連鎖を分割し、順序を逆転することによって、既存のミステリー作品の構成を踏襲し、結果から原因へとさかのぼった。一方で、観客…

6.16/2023 -その2 映画『インターステラー』考

Interstellar (2014) 考 Interstellar (2014)は、「未知の存在に導かれて宇宙へ向かった主人公が、『未知の存在』の正体が、実は自分自身と、そして未来の人類 (私たち、us) であることを知る」という物語である。 ここで、未知の存在の正体を知らない主人公…

6.17/2023 映画 TENET (2020) とC.ノーラン概論

映画 TENET (2020) は、全体で1つのU字構造・Uターン構造を形成する。 ノーランの過去作品を振り返ると、同様のU字構造を、Memento (2000)もまた有している。 TENET の主人公は、時間を逆行する過程で自分自身を目撃する。 このような「自分自身を目撃する…

6.15/2023

映画『aftersun/アフターサン』を視た。 英題は「日焼け止め」の意味。 単に、父親と過ごしたバカンスを象徴するアイテムを指示するのみなのか、それとも何か比喩的な意味があるのかは不明である。 この映画は「父親と過ごしたバカンス中に撮影したビデオを…

6.13/2023

期待の新作『ザ・クリエイター/創世者』 9.29公開 ギャレス・エドワーズ監督(『ローグ・ワン』) 『TENET/テネット』のデイヴィッド・ワシントン主演 オリジナル脚本・大作 シネマトグラフィに期待感 AI:テーマ性に注目 映画『ザ・クリエイター/創世者』…

6.12/2023 -その3:C.ノーラン『インセプション』論

「映画を視ている自己を意識する」こと: 「映画を視ている」ことに気づかされると、「スクリーンと自己の関係」をイメージする。 →上昇・浮上の感覚、「目覚め」の演出による効果 イメージと一体化していた思考が、現実に還り/我に帰り、自己とスクリーンを…

6.12/2023 -その2:C.ノーラン『インセプション』論/メタ体験、入れ子構造

INCEPTION (2010) 潜在意識は、人間の無意識な行動選択(行動決定)に深く関わっているという。 「潜在意識への介入と、それを操作する試み」といえば、映画もまた、人間の内部に眠る意識を呼び覚まし、ガイドする。 映画作家は、自身が抱く「イメージ」を映…

6.12/2023_C.ノーラン『メメント』評論

因果関係の説明は、通常、〈原因→結果〉の順番でおこなわれる。 これは時系列の順に等しい。 しかしミステリ作品(小説、映画など)においては、この順序は逆転する。 まず結果が登場し、次に原因が登場する。 ここで、次の対応関係に注意されたい。 結果=…

6.11/2023

着なくなった服、聴くことのなくなった音楽、もう読まない本。 …かつて必要だった哲学・思想。 それは薬のようなものだから、治療が済んだらもう摂取のいらないのかもしれない。 ・・・・ 映画『バットマン・リターンズ』(1992年/ティム・バートン監督)を…

6.10/2023

Step -羊文学 youtu.be ELLEGARDEN「Missing」Music Video - YouTube フジファブリック (Fujifabric) - 赤黄色の金木犀(Akakiiro No Kinmokusei) - YouTube 信州上田フィルムコミッション フジファブリック 『赤黄色の金木犀』 PV のロケ地について Amazing …

煙草の香りー思い出

今ではもう解体され、更地になり、アパートが建ったそこにはかつて、1つの邸宅があった。祖母の実家である。 祖母の住居からは歩いてほんの2-3分もしない距離にあったその邸宅に住んでいたのは、祖母の兄だ。 祖母は●人兄妹で、祖母の実家を引き継いだのがこ…

6.6/2023 -その2

東京に来ると、20階建てを超える高層ビルは何百本と立っているように思えるけど、地元盛岡では「マリオス」という20階建・約100mの、この30年のあいだに完成したビルが最長だった。(1997年完成・地上92m) 大して自慢できるビルでもないし、誇れるものとい…

6.6/2023

"Oppenheimer"(2023)のTV spotが公開されたようだが、ナチズムへの対抗意識と、米国の団結と称揚を軸に感じた。 "DUNKIRIK"(2017)はちょうどBrexitの時期に公開されたが、今作の公開時期には、ロシアによるウクライナ侵攻が国際社会の中心的なテーマとなって…

6.5/2023

週末は、「御仏の殺人」という捜査体験ミステリーを自宅で楽しんだ。友人3人と共に。 それからスナックへ行った。 時間をさかのぼると、昼食には冷麺を食べた。 土曜日の出来事。 【日記① 】今日は自宅で謎解きを楽しんだ。自分はあまりentertainingな人間で…

6.3/2023

映画『メッセージ』(2017)において、D.ヴィルヌーヴがおこなったトリックは、「過去の出来事を暗示しているように見せかけた映像が、実は未来の出来事であった」というものだ。 観客は冒頭の映像を、「主人公の過去における出産体験」だと解釈する。しかし本…

6.2/2023-その2

今朝は、悪夢による中途覚醒を経験した。 複数人に取り囲まれーみな男で、どれも知り合いだった。ー、フォークで滅多刺しにされた。 自分は抵抗した。 ・・・・ ライプニッツ『モナドロジー』を2回ほど通し読みした。 〈モナド〉は「実体」でありながら、原…

6.2/2023

「5.18/2023」のつづき 映画『すずめの戸締り』について。 すずめが草太と初めて出会ったあと、一度登校したにもかかわらず、彼女はわざわざ道を引き返して廃墟まで(草太よりも先に)辿り着く。その理由は明かされていないし、説明されていることもない。そ…

6.1/2023

もうすぐ、『インディー・ジョーンズ』第5作が公開される。 今回がシリーズ最終作となるらしい。 過去作品を振り返ってみると、「1」「3」「4」はいずれも道徳心のある主人公を応援している。(2は覚えてない) いずれも、「超越的なものに対する畏怖を持ち…